ご挨拶:日本リーダーシップ学会について

日本リーダーシップ学会代表理事・会長
工学院大学名誉教授・顧問
水野 明哲

    国際競争力の強化や企業再生など企業組織の発展・改編に関する問題、企業だけでなく社会の様々な組織の課題解決に責任を持つリーダーの取るべき行動やリーダーシップについて議論される場面が増加しています。日本ではリーダー育成に関するプログラムは主に企業における幹部育成など社会人を対象に実施されているのが現状です。リーダー教育に関するプログラムを持っている大学はそれほど多くはありません。さらにリーダーシップ教育のカリキュラムを運営する教員相互間の交流の機会も多いとは言えません。したがってリーダーシップの分野では科学的、学術的に議論する場が無いまま教育や研修が進められて来ていると言っても過言ではないでしょう。
    社会の各分野や各組織の経験や知見に基づき、あるべきリーダーの姿が語られ、受け継がれているはずですが、科学的な検証に基づき議論を戦わせるオープンな場が今までありませんでした。 そこで私たちは、日本リーダーシップ学会を設立し、リーダーシップに関するオープンで科学的な議論を行う場を設けることにいたしました。
   学会設立の理念として以下に示す三つの柱を立てています。

1.リーダーシップは組織のあらゆる階層に必要である 
    国、自治体、企業などのような大きな組織におけるトップマネジメントのみならず、プロジェクトチームを率いる場合、開発チームのリーダーとして商品開発を行う場合、NPO法人として社会貢献活動を行う場合など、様々な組織の各層においてリーダーが必要とされます。
    組織人としては、誰もがリーダーとして組織を率いる場面に直面することになります。リーダーシップは組織人全てに共通の課題です。組織が高度化するほど、分業が進展するほど各組織のリーダーの行動によって組織全体の成果は大きく異なって来ます。リーダーシップについての研究は国民一人一人に直接関わる問題です。

2.リーダーシップは科学的に解明できる
    今日のリーダーにはより複雑で高度な使命が与えられています。それは社会正義の実現であったり、利益の達成であったり、プロスポーツのリーグ戦勝利であったり、研究開発目標の達成であったりしますので、生まれつきの能力やこれまでに身に付けてきた得意な分野の能力だけで対応できるものではありません。 与えられた目標を達成するための戦略・戦術が必要であり、メンバーがその目標を目指して効率的に活動できる組織の構築が必要であり、具体的な課題達成のためのチームの運営能力が必要になります。
    このような資質をこれまでは先人に学び、メンバーとして活動する中で何らかの形でリーダー評価を行い、教師または反面教師として経験的に身に付けるというのが多くの組織で実施されている教育の現状ではないでしょうか。
    獲得したリーダーシップの適否については検証されておらず、具体的な検証を経た知見として後に引き継がれることもまれです。 他方で従来の日本のリーダーシップ論は、断定的なリーダーのあるべき論や優れたリーダーの業績の記述に偏っており、リーダーシップそのものを科学的に解明しようとする論述は極めて少ないのが現状ではないでしょうか。
    成功、失敗を問わず世の中に存在するリーダーシップに関する多くの事例を基に、リーダーシップを科学的に解明し検証することは可能です。その議論・検証を行う場としての学会の存在が望まれています。

3.リーダーは教育によって育成される 
    もしリーダーシップが属人的な資質であるならば、リーダーを育成することは極めて難しい作業になります。しかしリーダーシップが科学的に解明できるものであるならば、教育により優れたリーダーを育成することが可能になります。
    本学会ではリーダー育成のための教育プログラムについても科学的な検証・討論を行い、より良い育成プログラムの創出に関しても具体的な提言を行いたいと考えています。 その教育内容は科学的に検証されオープンに議論される必要があります。組織のトップだけでなく、組織内のあらゆる階層に所属するメンバーも含めて教育対象とすべきです。先ほど申し上げましたようにリーダーシップは国民一人一人にとって重要な問題なのですから。

  本学会ではリーダーシップに関する科学的な解明を進めると同時に、リーダー育成プログラムについても研究及び意見の交換を行い、より適切なリーダーシップ教育についての議論を深めて行きます。
    リーダーシップに関する科学的な解明と適切な教育プログラムの開発は本学会の活動の両輪であると言うことができます。 本学会は大学教育にかかわる教員だけではなく、組織や企業において人材育成・教育に関わる皆様、リーダーシップ教育に関わるコンサルタント業界の皆様にも広くご参加いただき、オープンにご議論いただくと同時に学会での議論の成果を日常の業務に反映していただくことも目的としております。
    現状では、企業は管理職に達する社員に対して組織的にリーダー研修を行っており、企業の人事担当の皆様や教育コンサルタント業界の皆様の研究が先行していると言ってよいでしょう。しかしそのリーダー教育の中身については、科学的でオープンな議論の場を設けることによって更に飛躍的に発展すべき時期が来ているのではないでしょうか。 将来の日本経済の復活の鍵となるリーダーの育成について、本学会が礎となることができれば望外の幸せです。

事務局:

一般社団法人 日本リーダーシップ学会
〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-2-12 共同ビル(中央)6F
メール: jimukyoku@leadership-association.jp

 

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